2017年12月29日金曜日

今年読んだ本で良かったものとか2017

『これが見納め』

(ダグラス・アダムス / マーク.カワディン[}、みすず書房)

銀河ヒッチハイク・ガイドで有名なダグラス・アダムス氏が動物学者と共に世界中の絶滅に瀕している生物に出会いに行く話.旅の道中に起きた出来事や出会った人々が,彼特有のウィットに富んだ文章で記されており,どのページもニヤリとしてしまう.

自分自身,「絶滅しそうな動物を保護するのは当然だけど,かたやその日のご飯もままならない人間もいる中で,何にどこまでお金をかけるべきなのか,そもそも生存競争で弱い生き物が滅びていくのは自然の摂理であり,保護は人間のエゴではないのか?」とかいろいろと疑問があったが,この本に書いてあった.「かれらがいなくなったら,世界はそれだけ貧しく,暗く,寂しい場所になってしまう」
という文章を読んでしっくりきた気がした.
パンダが絶滅したところで,自分の生活に何か影響が出るかは分からないが,パンダのいない世界よりはパンダのいる世界の方が好きだ.

この本は1990年に出版された本で,どんな経緯があったのが2011年に日本語版が出版された.内容は少々古いが,当時の状況を知り,その後最新の状況を調べると,この30年間の保護活動の成果が分かり,面白くもあり辛くもある.

ダグラス・アダムス好きなら間違いなく楽しめるし,そうでなくても楽しめると思う.
Kindle版は出ていないし,3000円以上するのでちょっと手を出しにくいが,間違いなく今年読んだ中で一番の本.



「インベスターZ

(三田紀房[]、講談社)


ドラゴン桜で有名な三田紀房さんの投資に関する学園ものも漫画.

主人公が入学した授業料無料の超有名私立校は,秘密裏に存在する投資部が産む利益によって運営されており,そこに入ることになった主人公が投資をゼロから学びつつ学校の資産を増やしていくというストーリー.

「株とか投資とかなんとなく興味はあるけどよく分からないし,損したく無いし面倒だからいいやー.」と思ってる自分みたいな人はその辺が学べて楽しめると思う.株,不動産,金(Gold)FX,生命保険,ベンチャー投資と言った投資全般のことに加え,日本の歴史や経済成長と金融の関係にも触れていて,お金に関する一通りの話題が学べる.
株を買うためには企業研究が必要であり,どんな企業が今後伸びるのかといった視点は就活でも必要なので,これから就活・転職・起業する人は特に興味を持って読めると思う.

「これを読んで投資を始めろ!」といった投資のハウツー本ではなく.マンガで社会の仕組みが学べる感じで楽しかった.既に完結していて全21巻の作品.




番外編 -買ってよかったもの-


Google home mini


Googleの出したスマートスピーカー(の安い方).

自分はスマホの音声認識とかSiriの類を全く使わない人間だが,新しいガジェットは好きなので話のネタにと購入.(セールで半額の3000円だった)
使ってみると想像以上に音声認識の精度が高く,機能次第では実用性が高そう.機能としてはスマホに搭載されている"Googleアシスタント"と代わりが無いが,ノーモーションでいきなり話しかけて反応するというのは,なかなか面白い体験.ワンルームの部屋ならだいたいとこにいても,普通に人に話しかける音量で反応する.

ただ,自宅には連携できる家電は無いしSpotify等の音楽サービスも契約していないので,できることは限られているが,カップ麺を作る時のタイマーや,朝の支度中にニュースを流したり,天気を確認したりするのに便利.あとBTスピーカーとして使うこともできる.

文字にすると大した機能では無いし,無くても不便では無いけど,あると楽しい.
一ヶ月後には飽きてるかもしれないけど...



RX100



SONYのハイエンドコンパクトデジカメ.

一眼レフは疎か,ミラーレスも持ち歩くのが億劫になってきて,ポッケに収まるサイズでそこそこ撮れるカメラが欲しいと思って買ったもの.
RX100シリーズは5世代目まで出ており,Ⅲは2年も前のカメラだが,価格と性能のバランスが良く,シリーズの中で最も人気な機種(ってビックカメラの店員さんも言ってた).SONYの一眼を使っている人にはUIが同じなので使いやすく,コンパクトながら結構ボケるし絞ればしっかり解像するしで,画質はエントリークラスの一眼レフと同じかそれ以上かと.

「カメラに興味あって昔に一眼レフ買ったけど,重くて結局使わなくなった.けどスマホだと少し物足りないかなー」という人にオススメ.
お値段は7万円を切るくらいで,これを安いとみるか高いとみるかは人それぞれだが,最近のスマホのカメラは相当レベルが高いので,これより安いカメラを買ってもスマホと対して変わらず,安物買いの銭失いになる気がする.




あとこれを買いている最中に誤って,2016年末に買いた「今年読んだ本で良かったもの2016」を削除してしまった.ショック.

2016年9月24日土曜日

骨を見てきた。

動物の本物の骨が見られる展示会に行ってきた。

たまたまラジオでこの展示会の存在を知り、気になっていた時、
近くに行く機会があったので寄ってみました。

会場は上野駅から歩いて10分くらい、東京大学本郷キャンパスの裏に位置する文京区の施設。
建物の2階の一部屋が展示スペースとなっている。


部屋に入ると一面の骨。
もっと規模の大きなものを想像していたので少し拍子抜け。
でも、よく見ると一つ一つの存在感が強く、独特の臭いも相まって、
エネルギー密度の高い空間が形成されている。



まず入口に鎮座しているのが、アジアゾウの頭部と下アゴの骨。
骨格には詳しくないのでいまいちピンとこなかったが、
後ろのモニタに簡単な解説動画が流れており、
・ゾウの鼻には骨がない
・歯は奥歯の方からドンドン生えてくるので,薄い歯がいくつも重なっている
といった事がことが分かった。



ゾウの隣の隣にいたのがキリン。
キリンのツノ?の部分って骨があるんですね。
形が特徴的なので、すぐにキリンだと分かる。

ツノのデコボコし感じがリアルで、滅茶苦茶かっこいい。
眉間のツノ(?)も思っていたより高い。今度、動物園に行ったときは注意して見てみよう。



ライオン。
歯の形が今まで見てきた草食動物と全然違う。
牙をベースにして頭蓋骨が設計されてる感じ。



ゴリラ、オランウータンはかなりヒトに近い。
ただ、どちらも頭頂部が球形でなく、ヒダ状のパーツがある。
一見似ていたけど、よく見るとヒトとは全然違う。



一番、ヒトに近そうに見えたのがパタスザル。
写真では分かりにくいけど、握りこぶしよりも一回りほど小さい。
頭の形が綺麗。



ゾウ、キリン、ライオンとった大型で有名な動物だけでなく。
イヌ、ネコ、ハムスターといった小型動物から、イルカ、カメ、といった海の生物、
インドガピアル、マーラ、ドールといった、名前を聞いてもピンとこない動物まで、
多様な種類の骨が見られる。



もちろん、頭蓋骨以外の展示も。
こちらはケヅメリクガメの甲羅。

内側から覗くと、甲羅が背骨と一体化しているのが分かる。
この甲羅、学術的には背甲(ハイコウ)と言い、お腹側の甲羅は腹甲(フッコウ)と呼ぶらしい。
カメの甲羅と言えば、分厚くて頑丈なものを想像していましたが、
厚さは5mmくらいで、光が透けるほどの薄さ。
もちろん、種類にも寄るだろうが。



特に説明がなかったけど、たぶん肋骨。
どれも大きさは違えど、形はほぼ同じ。
スケール効果により、全長の累乗で断面積が増しているように見える。



こちらはシロサイの角。
サイの角は皮膚や爪と同じケラチンでできているので、骨ではないらしい。
何にせよ、ディテールが凄まじい。
どうやったら作れるんだこんなもの......



空を飛ぶ哺乳類であるコウモリは指と指の間に膜がある。
生きている時は、さらにこの手と尻尾も膜で繋がり、翼を形成しているらしい。
軽量化のため、同サイズの飛ばない動物と比べると、骨が恐ろしく細い。


全体的に解説が少なめ(というかほぼ無し)なので、
頭蓋骨や手足以外の骨は、どこの部位か分かりかねる。
詳しい人と一緒に行くと,より楽しめそう.


写真手前はキリンの頸椎。
壁には骨の写真が飾ってある。



やはり頭蓋骨のテーブルが一番迫力がある。



こちらはナイルワニ。
ゴツゴツとした鼻先の形が骨からもよく分かる。



あと、印象的だったのだアオウミガメ。
目の掘りが仮面のようでとにかく格好良い。

チーターのような鋭い眼光。
生前のおっとりとした顔からはとても想像できないスマートな骨格。


他にも、ペンギン、カピバラ、イルカ、ペリカン、ヘビといった
様々な動物の骨が見られる。


自分の体の中にも、こんなものが何十個も入っていると思うと不思議。


東大の獣医学者の教授が展示監督をしていることもあり、
どの骨も非常に状態が良く、また見せ方も美しく、見入ってしまった。


かつて生き物の一部であった、本物の骨の存在感はとても写真では伝わらないので、
興味のある人は是非。
11月の終わりまで開催していて、無料だし非常に空いているので、ゆっくり見られます。



イベント概要
名前:「骨を見る 骨に見られる」
期間:2016年07月08日 ~ 11月26日
時間:09:00-17:00
休館:日曜・祝日
場所:文京区教育センター
料金:無料
URL:http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2016honewomiru.html

2015年12月29日火曜日

今年読んだ中で良かった本。



今年は読んだ冊数こそ多くないものの、多くの良書に出会えた年でした。
その中から特に良かった5冊の本をご紹介。
まずはフィクション系。

『火星の人』

(アンディ・ウィーア[著]、早川書房)

アンディ・ウィアーという新人作家のSF小説。
来年2月にこの本原作の映画が日本でも公開されるので、聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
ストーリーは、主人公の宇宙飛行士が火星での探査ミッション中トラブルに巻き込まれ、地球へ帰還するチームとはぐれてしまい、火星基地で一人でサバイバルをするという話。技術的な考察が丁寧で、細部まで非常によく考えられたSFとなっています。主人公は宇宙飛行士でありながらどこか砕けた性格で、明るくユニークな口調とともに主人公目線で物語が進んでいくので非常に読みやすかったです。話の展開がテンポ良く、最後までドキドキハラハラしながら一気に読み進めることができました。
とても新人とは思えない文章の上手さ。また、口語が多いながらも、自然な日本語に訳されており、海外小説にありがちな不自然さも全く感じませんでした。
今年読んだ小説の中で、間違いなくイチオシな一冊です。

この本の好きな一文

軽いネタバレになり兼ねないので割愛。
(ソル98のワトニーからの通信の最後の文。)




『有頂天家族 二代目の帰朝』


(森見登美彦[著]、幻冬舎)



少し前にアニメ化もした、有頂天家族シリーズの二作目。
森見登美彦さんが書いているので面白いのは当たり前なのですが、前作に負けず劣らずの面白さ。一応、前作の続きの世界の話なので、一作目を読んでいない方はまずそちらを読むことをお勧めします。
内容は、人に化けて人間の世界で遊ぶ下鴨家の狸と、京都の山に住む誇り高き天狗の赤玉先生、一癖も二癖もある人間達が織りなす、面白きことは良きことなり話.
笑いあり涙ありの、まさに王道な娯楽小説と言えるのではないでしょうか。アニメも素敵なので、原作とアニメどちらもオススメです。
当分先でしょうが、この後も続巻が出るらしいのでとても待ち遠しいです。

この本の好きな一文

”面白く生きる他に何もすべきことはない。
まずはそう決めつけてみれば如何であろうか。”




『モダン・タイムス』

(伊坂幸太郎[著]、講談社)

現在,映画が公開されている「グラスホッパー」や、「重力ピエロ」、「ゴールデンスランバー」など次々にヒット作を書いてきた伊坂幸太郎さんの作品。
伊坂さんは僕の大好きな作家さんで、この「モダン・タイムス」も2008年に出版されてすぐ読みました。それから、7年たち何となく今の時代になって読み返したくなって読んだのでエントリー。
内容は、病的に浮気に疑り深い妻を持つ恐妻家SEが怪しい仕事をきっかけに、大きな事件に巻き込まれていくという話。これまで紹介した2冊が読後にスッキリするのとは対照的に、この本を読んだ後は得体の知れない恐怖感というか、不意に襲いかかる暴力的な運命と言った圧倒的な力を感じます。
「モダン・タイムス」はチャップリンが資本主義を痛烈に批判した映画ですが、同じタイトルを持つこの本も現代社会への強いメッセージが隠れている気がします。
過去に人々が独裁者を求めたように、抗うことのできない、比類なき大きな力を感じたい時に読みたい本。

この本の好きな一文

”人生を楽しむには、勇気と想像力とちょっぴりのお金があればいい。”
(登場人物がチャップリンの映画「ライム・ライト」のセリフを引用。)




ここからはノンフィクション系。


『持たない幸福論』

(pha[著]、幻冬舎)

京大卒で自称”日本一有名なニート”ことphaさんの本。
多分、今年読んだ中で、最も影響を受けた本です。
今を生きるのが辛い、働きたくない、どこか自分の居場所がない、家族と上手くいっていない、家族とは上手くいっているけど何だか窮屈、なんだかこのままでは自分がダメになりそう、と言った感じでたまに頭の中が「うわぁー」っとなる人にオススメ。
人生の価値観というものは社会から押し付けられるような唯一のものでなく、もっと多様性があっても良いのではないか?というような事が書かれています。
毎日満員電車に揺られて身を粉にして働いて、お金を稼いで、家を買って、家族を養って暮らすことは素晴らしいけど。定職も伴侶も持たずにブラブラ生きて、昼間から公園でぼーっと過ごすのも素晴らしい生き方じゃないでしょうか?

この本の中の好きな一文

”たまに親しくもないのに自分の価値観を押し付けてきて「そんな生き方は間違っている」「世の中はそんなものは認めないぞ」とか言ってくる人がいるけど、そういうのはよく分からない宗教の人が「あなたの生き方は我が教の教義に反しているので死後十億年間地獄に落ちます」とか言ってくるのと同じなので、「ああ、別の宗教の人だな」と思ってほっとけばいい。”




『中の人などいない 

@NHK広報のツイートはなぜユルい?』

(NHK_PR1号[著]、新潮社)

Twitterにおける企業アカウントの草分け的な存在である@NHK_PRの中の人(1号)が書いた本。
”中の人”がどんな考えで国営放送局の非公式アカウントを作り、ツイートしてきたかという内容が書かれています。企業アカウントのハウツーや、SNSでの振る舞い方指南書なんかではなく、”中の人”のエッセイ集といった感じで気軽に読める本です。
Twitterの楽しい点、難しい点、面白い点、傷つく点など、酸いも甘いも経験した”中の人”の様々なエピソードが、ストーリー立てられて優しい語り口で進んでいきます。
人付き合いのあれこれという点では、Twitterを使っている人もそうでない人も、読めば何かしら得られるものがあるのではないでしょうか。
”中の人”が持つ独特のユルさ、ユーモアさは相手への思いやりから生まれるものであり、あのレベルまでは到底難しいものの、自分ももう少しユーモアのある人間になれたらなーと思いました。

この本の好きな一文

”お!おやつ!!おやつの時間かあ…。それってものすごくダメな感じがするぞ。マジメで堅い感じのNHK時計なのに、指している時間はおやつの時間。この微妙にずれたテイストは、もしかすると私が狙っている感じに合っているかもしれないな…。”




最後に

今回紹介した本は全てamazonの電子書籍、Kindleのフォーマットで販売されています。
リンクはハードカバーの本のページのURLをはってありますが、文庫版はKindle版はもう少しお手軽価格なのでそこから手を出すのもおすすめ。
特にKindle版は普通の本とは違って、セールでたまに半額になったりするので、欲しいものリストに突っ込んでおいて、安い時に買って、気が向いたら読んでみるといいかも。